科学的介護の推進

令和3年4月の介護報酬改定に伴い「科学的介護」が始まりました。幸伸会でも科学的介護への取り組みを始めます。
科学的介護とは「どのような状態(栄養状態や認知症の症状等)の方に」「どのようなケア(機能訓練、栄養マネジメント、口腔ケア等)を提供し」「どういった変化(身体機能の改善、認知症症状の変化)が起こったか」といったデータを『LIFE』と呼ばれるデータベースへ提出し、そのデータに対し厚生労働省から各利用者様の状態や施設の取り組みなどに対してアドバイスを頂きます。データの提出とアドバイスの活用を続けていくことで、根拠に基づいたケアの提供を進めていくことが「科学的介護」です。
幸伸会各事業所では利用者様、ご家族の満足度や価値観を第一に考え、より質の高い介護サービスの提供が出来るよう、科学的介護の取り組みにもチャレンジをしていきます。

~LIFEを導入して1年が経ちました~

令和3年4月からスタートした科学的介護情報システム「LIFE」へのデータ提出を開始して、1年が経ちます。LIFEは今までの加算と違い、国へのデータ提出を行って初めて、取得できる体制が整うことになります。従来までの介護報酬算定方法は1回当たりの算定でありましたが、LIFEは成果報酬型の算定となります。1年間を通じてデータ提出することは職員にとっては初めてのことでした。今回は、令和3年の4月~12月までのフィードバックが示されました。特別養護老人ホーム青山荘のLIFEへの取り組みの成果をお知らせしたいと思います。

誤嚥性肺炎の発症・既往の比較

青山荘に入所されてから、誤嚥性肺炎を発症された方だけではなく、入所前に発症の既往がある方もこの数字には含まれていますが、全国と比較して青山荘の利用者は誤嚥性肺炎の既往歴がある方が多くいらっしゃいます。
嚥下機能の低下から繰り返し発症される方も少なくはありません。日頃の口腔ケア、口腔体操、食事の際のポジショニング等、予防に資する取り組みを継続していく必要があることがこの結果から伺えます。

褥瘡発生と日常生活自立度の関係性について

褥瘡発生の状況は全国平均と比較して同等となっています。しかし、障害高齢者の日常生活自立度のデータから、青山荘の利用者は自力での寝返りや起き上がりが難しいCランク以上の利用者の割合が高いことが分かります。これは、ベッド上で思うように動けない方、つまり「褥瘡の発生リスクが高い方」の割合が高いが、全国と同等の褥瘡発生状況ということは、青山荘の褥瘡マネジメント(ポジショニング、スキンケア、栄養ケア)が適切に行われているからだと考えます。職員の皆さんが褥瘡予防に向けた取り組みを日々考えながらケアに当たっているからこその数字だと思います。
※障害高齢者日常生活自立度とは、高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)の程度を表すものです。ランクはJ~Cまであり、J:生活自立、A:準寝たきり、B:寝たきりを表します。